たかが本、されど本

本と本屋にまつわるエトセトラ。地方出版社勤務。ひそかに書店開業をめざし、こそこそ詮索中。

本はどこにでもある

 

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 当たり前だが、本を読んだり見たりできる場所は本屋だけではない(購入以外で)。病院や美容室、銀行、カフェなど。主に、人が一時的に滞在するような場所に本はある。特に、週刊誌や雑誌など、定期刊行物が並んでいることが多い。本屋以外の本を置いている場所の人々は、その周辺の市場や客層にあわせた本をそろえている。

 これは本家本元の本屋でも、もちろん選書はしている。本屋は百貨店やショッピングモール、駅ビルなどに入居していることが多いため、比較的オールジャンル(老若男女、職業など問わず)の本が所狭しと置いているため、選書した感じが弱いことは弱いが。

 

 一方、郊外のロードサイド店は客層を意識した棚づくりとなっている本屋が多い。住宅街に近ければ、実用書や女性誌などが中心。小中学校が集中する地域は学校参考書やコミックなどを充実させる。立地や客層に応じて仕入れるものが買える。小売業だから、当たり前といれば当たり前だが。

 

 では、病院や病院や美容室、銀行、カフェなど、本を置いている場所でお客さんが本を購入することができたら?

 出版社側から見れば、販路のひとつになりうる。本屋側から見ると、競合店か。そうではない。当然、在庫数やスタッフの人数、取り寄せサービスなど、一般的な本屋のようなことは対応はできない。

 逆にメリットはこれらの場所の店主ないし、スタッフが独自の目線と本業と親和性が高く、専門的な本を仕入れ、売るいうことはブランディングにつながる。さらに、お客とのコミュニケーションツールとしても活用できるはずだ。

 本屋にはない「あの人が選んだ、オススメする本なら…」という、顔が見えているといことで、常連客はそこにある本を購入することだろう。

 現在も本はどこにでもあるし、あっていい。その場で売ることができれば僅かながら、取り分が増えるばず(元来、本は書店だけのものではない)。

 もっと積極的に出版社も書店も仕掛けていくべきである。